株式による資金調達をうたっているコラムをご紹介いたします。
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日本経済新聞より

相次ぐ支援、活力そぐ 株式による資金調達も鍵
ポイント
○中小企業の生産性の低迷が成長を下押し
○資金繰り支援は結果的に新陳代謝を阻害
○起業環境の整備や起業前後の支援拡充を
これまでわが国は、政策的にも社会的にも「中小企業」に高い関心を持ってきた。中小企業部門は、雇用の約7割、付加価値の半分近くを占める。その活性化抜きに日本経済の力強い成長は難しい。
まず、わが国の経済成長における中小企業部門をマクロ的にとらえてみる。労働生産性の変化に対する寄与度を企業規模別にみると、中小階層で伸び悩んでいたことがわかる(図1参照)。業種の視点を交えれば、サービス業をはじめとする非製造業の中小階層の低迷が深刻であった。
その理由の一つに考えられるのは、産業や企業規模をまたぐ雇用のシフトである。1990年代以降、製造業を中心に大企業でリストラが進められ、放出された雇用の一部を中小サービス業などが吸収してきた構図がある。これが生産性計測上の分母を増やし、結果的に中小部門の生産性を低めた面がある。「雇用の受け皿」機能を果たしたことが、計算上、生産性を低めたという解釈もできる。
もっとも、生産性の変化を要因分解すると、大企業はリストラ効果以上の生産性の上昇を続けてきた。一方の中小企業は、そうはなっていない。企業規模間の格差は雇用シフトだけでは説明できない。
各業種の事情が見かけ上、企業規模ごとの生産性の伸びに影響したのではないか、との指摘があるかもしれない。中小企業の多い業種の生産性が下がると、企業規模に起因するものでないにもかかわらず、統計的には中小部門の生産性が低下する。
しかし現実には、製造業と非製造業、あるいはさらに細かい産業分類でみても、各業種内で大企業と中小企業の間に生産性の伸びの格差が観察される。やはり純粋に中小企業の生産性の伸びが低かったとみざるを得ない。
なぜわが国の中小部門は、本来持っているはずの活力を失ってきたのか。少なくともその活動を縛るような施策がとられてきたわけではない。むしろ中小企業は積極的に支援される対象であり続けた。
経済学の大命題の一つとして「保護的政策は長期的に競争力を低下させる」というものがある。特に90年代後半以降、中小企業への資金繰り支援策がたびたび講じられてきた。危機対応としての意義を否定するつもりはないが、大規模で長期にわたる政策は中小部門への強力な支援効果を持っただけに、ダイナミズムを徐々に喪失させる副作用も伴ってきた可能性が高い。
中小部門の活力をそいだルートは2つ考えられる。一つは新陳代謝の阻害である。金融対策をはじめとする中小企業支援の対象は、既存の中小事業者である。これからの起業を考えるアントレプレナー(起業家)に恩恵は及ばない。それどころか先行者を温存することで、潜在的な参入障壁を高めかねない。中小部門のダイナミズムの大きな源泉は、活力ある参入者と生産性が相対的に低い退出者の出入りによる新陳代謝だが、その重要な働きが弱められた公算が大きい。
例えば製造業の網羅的な統計(工業センサス)に、新陳代謝の停滞をみることができる。主要先進国では70年代以降、大量生産の退潮などから小規模事業所の比重が相対的に高まっている(Loveman Sengenberger 1991)。しかし日本のみ比重は低下している。筆者が要因分析したところ、小規模事業所の退出が増えたからではなく開業が大幅に減ったためであった。
もう一つのルートは中小企業経営の慎重化である。中小支援策の大きな柱は資金繰り対策だったが、債務減免が多用された大企業部門とは大きく異なる方針がとられた。「貸し渋り」「貸しはがし」の抑制を旗印に、むしろ債務を維持する支援が講じられてきた。倒産こそ免れつつも長年にわたり収益を債務返済に充てざるを得ず、前向きな支出に資金を回せない中小事業者を多数生むことになった。
図2は、大企業と中小企業の資金過不足の状況で、負債と資産の変化分を差し引きした金融フローの最終尻を表す。90年代半ばから大企業、中小企業とも資金不足から余剰に転じたが、大企業に比べ中小企業は、不足から余剰への振れ幅が大きく、2010年以降の余剰幅も大きい。余った資金は資産積み増しに回るか、負債削減に充てられるかだが、中小企業はもちろん後者である。マクロ統計に、中小部門のバランスシート調整圧力が明確に表れている。
市場からの退出は、当事者に大きな痛みを与えるが、強制的に債務を整理する節目ともなる。比較的早期にバランスシート調整を終えた大企業部門に対し、中小部門では調整が長引き、イノベーション(技術革新)などを通じた生産性向上策を進めにくい状況が続いてきたと考えられる。
個々の事業者の立場からすれば、事業環境が厳しいなか、支援策の弊害など二の次というのが実感かもしれない。しかし、何らかの意図をもって講じた政策が全体では逆の効果を生じるという「合成の誤謬(ごびゅう)」は、経済の世界で往々にして生じ得る現象である。支援策で救われるのは自社だけではない。当事者が直接感知できない業界全体の温存が、結果的に互いの消耗戦を強いることになる。
以上の認識に立つと、今後の中小企業政策には2つの方向性が考えられる。一つは手厚く講じられてきた保護・支援策を徐々に終息させていくことである。大方の中小事業者や国民にはまだ景気回復の実感はないとはいえ、すでに「危機モード」とは呼べない状況にある。支援で支えられつつも先行きの展望が開けない事業者の円滑な退出は、避けて通れない課題である。
現実の政策も、中小企業金融円滑化法が13年3月末に終了するなど、そうした方向にかじを切りつつある。景気回復が続くとみられるここしばらくは、景気循環の観点からも絶好のタイミングである。
もう一つの方向性は、起業支援、あるいは起業後間もない若年企業の支援である。中小企業政策は、中小企業基本法の抜本改正(99年)に象徴されるような長期の変遷としても、創業補助金など近年の具体的施策としても、そうした志向を強めている。この流れを加速し、起業環境の整備や起業前後の経営支援を拡充することなどが考えられる。
これらは小手先の対応ではなく、大局的な見地から中小部門のあり方を考え取り組んでいくべきものだ。その大枠を検討するうえで、金融の視点は決定的に重要である。資金調達は中小企業経営の命綱であり、その変革は中小部門の姿を大きく変え得る。
従来、中小企業金融で中心的な役割を果たしてきたのは銀行、信用金庫・信用組合などからの借り入れ、すなわち間接金融であった。こうした体制を、株式発行などによる直接金融で補っていく余地は大きい。株式による資金調達は、事業が失敗した際の経営者の損失が限定されるほか、事業譲渡もしやすいなど、新陳代謝の促進に向いている。
ただし、こうした資本市場の活用一つとっても、通常の中小企業政策だけで完結するものではなく、地域金融のあり方や企業税制といった他の重要課題と不可分の関係にある。真に中小部門を活性化し、日本経済の成長力向上につなげていくためには、中小企業政策を経済全体の設計に位置付けて考える「骨太」なビジョンが求められる。
ごとう・やすお 64年生まれ。京大博士(経済学)。日銀、三菱総合研究所を経て現職