鹿島の海外工事ストップの記事についてご紹介します。
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危機迫る鹿島の時限爆弾 大型海外工事が凍結、巨額代金未回収の恐れ! 市場で懸念広がる。

鹿島は2015年3月期決算の利益を下方修正した。連結営業利益は従来予想より40億円少ない240億円、純利益は30億円少ない140億円に引き下げた。11年の東日本大震災前後に低価格で受注した建築工事で、想定より採算が悪化し、損失を計上した。一方、売上高は1兆6400億円へと400億円上方修正した。土木・建築ともに受注は好調だ。

東証の株式取引時間中の下方修正発表で、10月28日の株価は一時7%安の475円にまで下落した。9月9日には年初来高値の555円をつけた後、鹿島は一時495円まで売られたことがある。この時は大成建設などとの共同事業体(JV)が手掛けるアルジェリアの高速道路工事をめぐり、現地政府との対立が深まっていると報じられたことがきっかけだった。鹿島は、いわば時限爆弾を抱えているような状態で、破裂すれば赤字が膨らむリスクをはらんでいる。15年3月期の下方修正はアルジェリア案件とは別で、突貫工事による損失だったが、アルジェリアの負の連想で株価が急落したのである。

「アルジェリア東西高速道路建設工事(東地区)」は鹿島、大成建設、西松建設、ハザマ(現・安藤ハザマ)と伊藤忠商事の5社でつくるJVが受注した。アルジェリア北部を東西に走る1200kmの高速道路のうち、チュニジア国境までの東側400kmを建設するものだ。受注額の5400億円は日本のゼネコンによる海外工事では最大級の案件でもあり、注目を集めた。

06年10月に着工し、完成は当初10年2月のはずだったが遅れた。トンネルだけでも14本あるのに、地盤が弱く、崩落しやすい山が相手では、耐震性に優れたハイテクの掘削技術がまったく役に立たなかった。さらにテロ対策で火薬の持ち出しが制限されてしまい、発破をしたい時にそれができないなど、さまざまな理由から工事が滞った。しかも、アルジェリア側からインターチェンジ新設など膨大な追加工事を求められ、こうした追加工事の代金は支払われていない。

今年1月には、一連の工事で鹿島が手掛けた高速道路のトンネルが崩れた。鹿島はアルジェリア政府に再三、トンネル内の鉄筋の補強が必要だと訴えていたが、アルジェリア側は聞く耳を持たなかった。工事の進捗率は80%で止まったまま。総工費5400億円のうち1000億円が未払いになって、交渉は暗礁に乗り上げた。

●国際仲裁裁判所に仲裁申し立て

鹿島が代表を務めるJV側は6月、複数の国にまたがる経済的な争いなどを仲裁する国際仲裁裁判所(パリ)にアルジェリア政府との仲裁を申し立てた。しかし、仲裁手続きに入るには両者の合意が必要である。アルジェリア政府が国際仲裁裁判所に、仲裁を拒否する意向を伝えてきた。これでアルジェリア高速道路問題はフリーズ(凍結)状態に戻ってしまった。

株式市場が懸念しているのは、鹿島らに今後どれだけの金銭的負担が生じるかという点だ。JV各社は11年3月期に800億円の工事損失引当金を計上したが、それでは済まない。未払い代金は1000億円を上回っているからだ。

損失は、出資比率に応じて負担するのが原則だ。出資比率は鹿島と大成建設がそれぞれ37.5%、西松建設が15%、安藤ハザマが5%だ。今年9月末時点の工事損失引当金は鹿島が410億円、大成建設が450億円、西松建設が32億円、安藤ハザマが22億円。これには国内工事の引当金も含まれるが、大半はアルジェリアの工事に関する引当金とみられている。出資比率は同じなのに、これまで鹿島と大成建設の引当金に大きな差があった。鹿島は7~9月期に引当金を積み増した。「アルジェリア高速道路の工事代金の回収は一段と遠のいた」(市場関係者)との見方が広がっている。

20年の東京五輪開催でゼネコンに追い風が吹く中、鹿島の苦境が目立つ。鹿島は建築部門の工事採算を示す完成工事総利益率(粗利益率)が低下傾向にあり、これが業績の下方修正に直結した。株式市場は「ネガティブサプライズ(悪い驚き)」が続く鹿島に失望している。いつ業績回復の確かな足取りを示すことができるのか。スーパーゼネコンの中で、鹿島だけが取り残される懸念が出始めている。